第1話《声に恋しろ!》

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「わーった!行ってやるよ!行ってやる!」 良介は観念したのか、頭をがしがしと乱雑に掻いてからパンフレットを吟味し始めた。 「でも、私は...」 自分の声が嫌いだから…、 俯いている私を見かねて、桐生が何かを差し出してきた。 「《声優は、魂を吹き込める役者。君の声で唯一無二のキャラクターが生まれる》…?」 「お前が嫌ってるその声を待ってるキャラクターだっているんだよ。お前が声優を目指すことによって、生まれるキャラクターだって、お前が声優を目指さなかったら生まれることは無い。お前がキャラクターを創るんだ。」 私が、キャラクターを創る。かぁ…。 「桐生のくせにかっけぇこと言ってんじゃねぇよ。」 「そうだねえー。桐生のくせにぃ。」 「るっせぇ!」 3人がギャーギャー騒ぎ始めるなか、私は考えを固めた。 「決めた!オーディション受ける!」 ばんっ、と机を叩き立ち上がる。 「きゅ、急にでっけぇ声だすな!」 「お、決めたか!」 「良かった良かった。」 「そうと決めたら、良介!今日受けに行こう!」 「は!?いきなり今日とか、あんのかよ!」 「これ!オーディション、今日だししかもちょうど学校終わった時間だよ。よくないこれでっ!」 「《声に恋しろ!恋声プロダクション》…。なんだこれ?聞いたことねぇし。なんか怪しくないか…?」 「いいじゃん。なんか面白そう!」 あーだこーだ言っている2人を見ながら、悠香と桐生は苦笑気味に笑っていた。 「ゆーゆー達がどんな声優になるか楽しみだね!」 「お、おう。(まずは受かるかどうかだけどな…)」 そう簡単なわけないからなぁ、何があるかわかんねぇから、受かるか、どうか…。 桐生の考えは、当たっていた。 有希と良介はどうやってそれを乗り越えるか―――
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