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皆でHRの時間を使って作ってきたが、間に合わなそうだとなったため放課後にも残ることになった。
今日は金曜日。
文化祭は月曜日だから、残り明日しかない。
土台はほぼ出来上がっていて、後は装飾を施すだけだから何とか間に合いそうだ。
「あははっ」
その声に、勝手に心臓が反応する。
……また、だ。
ゆっくり振り返ると、そこには上田と熊野が楽しそうに話していた。
それと同じ班の野田と平野と松本もいた。
「松本って、何で柔道部に入ろうと思ったの?」
上田が松本に尋ねる。
「何でって……。入学してから柔道部の先生に入らないかって誘われたから」
「へえ」
「野田は?」
今度は熊野が話しかけている。
「俺は部活に入ってないし。塾に通ってるしね」
「「えっ、今から?」」
二人の声が被った。
「ヤマケン?手が止まってるよ」
不意に太田に声を掛けられて、意識が目の前に戻る。
「どうかした?」
森は手を動かしながら聞いてきたが、オレは「何でもない」とだけ答えた。
その後も着々と進み、19時過ぎにやっと完成した。
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