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ボーイズラブを好きになったのはいつだっただろうか。
物心着いた時には母親は腐女子で、2人いる兄貴達も腐男子で。
俺は絶対ならない、と思っていたのに何故か腐女子というものになってしまった。
その上どこかズレてしまった俺は、男をBL的な目でしか見れなくなり、女しか好きになれなくなってしまった。
まあ、簡単に俺の説明をしとくと、レズな腐女子って所だ。
「おい、祐、入るぞ」
部屋のドアを開け、遠慮もなく俺の部屋に入ってきたのは俺の2つ上の兄貴。
今まで寝ていたのか、痛んだ茶髪はボサボサだ。
「ノックしろっていっつも言ってるだろ」
睨みながら言うと、わりぃわりぃ。と全く反省してないであろう笑みを返される。
いい加減にしろよ、バカ兄貴。
「どっこらしょ…あんさ、明日暇?」
兄貴はゆっくりと床へ腰をつく。
どっこらしょって…ジジイかよ。
「暇だけど「マジ?あれ、お前真美ちゃんどうしたんだよ?また振られたのか!?」
むかっ。
コイツ…振られる悲しみを知らないからって軽々と真美の名前を出しやがって…。
真美ってのは昨日まで付き合っていた俺の 彼 女 だ。
めちゃくちゃ可愛くてタイプだったのに…。
「昨日真美ん家行ってさ、いい感じの雰囲気で胸揉むとこまではいったんだけど、あいつが急にフェ●してきようとしてズボンとパンツ下ろされたから女ってバレて平手打ちされて振られた。」
俺が全てを話すと、兄貴は口を勢いよく両手で抑えて黙り込む。
急に静かになった相手を不思議に思って覗き込むと、手の隙間からブッ、と大きな息を漏らしやがったまじむかつくコイツ。
「ぎゃはははは!当たり前だろ!付き合ってからカミングアウトしたら相手腹立つに決まってんだろ!!」
「うっせえ!普通、愛してれば相手が男でも女でもどっちでも良いだろ!」
「ぶくくっ…!だからお前のその考えズレてるって何回言えば分かっ…ぎゃはははは!あー面白ぇ!どこまで馬鹿なんだお前は!!」
「はあ?」
確かに今までエッチする所で女とバレて振られてきた。
その数は星の数ほど。
俺と同じレズなんてあんまりいないから、愛の力で性別の壁を超えようとしているだけなのに、その壁を一緒に超えてくれる素敵な女はなかなかいない。
同性愛ってのは大変だ。
何が面白いのか分からないが、大爆笑する兄貴。そのまま死んでくれればいいのに。
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