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地面に埋め込まれた大理石を踏みしめて、囲むように生えた木々を抜けると小さな広場にたどり着いた。
辺りを見渡して人がいないことを確認すると奥の方へ進んでいく。
ん?
誰かいる
こちらに背を向けて蹲っている一人の男
その下で尻尾を振る小さな子犬
「お前、何をしている」
驚いて振り返った男
栗毛色の髪に目が隠れるほど長い前髪、開かれた口から覗く八重歯に、真っ白な肌
頭の隅に叩きこんだ生徒名簿の中から探し出す
「城木冥、だよな?」
「…かい、ちょ?」
千切れるくらいに尻尾を振りながら寄ってくる子犬に、しゃがみこんで頭を撫でてやる。
「お前一ヶ月前から来ていただろ?」
「………(コクッ」
やはりこいつか
ご飯を与えに来ると必ず先約が来ていて、皿にはいつもドックフードが残されていた
ここに立ち入る生徒は殆どいない
つまり今ここにいるコイツが犯人
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