三章

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「稔麿の奴そんなこと言ったのか」 「うん」 知らんかったんかい。 「あいつは過保護だからなぁ…」 感心しとる場合ちゃうっちゅーねん。 「……なら、俺がついてってやるよ」 「ほんまに!?」 まぁ、そのつもりやったけど! 「ありがとうっ!晋作」 「……っ」 なんや感謝したっとんのに。 晋作は何も言わんと、そっぽ向いとる。 まぁそんなんは無視無視。 「甘味処も行きたいし、小物屋にも行きたいし…京来たことなかったからいろんなとこ行ってみたいねん!」 「…俺が案内してやるよ。準備して来いや」 「え?準備ってなんの?」 「はぁ?お前そのままで行くのかよ」 そのままって言われても…。 藍色の袴に、下ろしたまんまの長い髪。 ……なんかあかんか? 「他の着物ねーのかよ。女物とか」
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