三章

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「無い」 「てめぇあのでっけぇ荷物ん中には何が入ってんだよ!?」 「…袴とかの着替えと小刀と甘味と苦無と「もういい」 指を折りながら何が入ってるか言う私に、晋作は呆れたように溜め息をつく。 「袴かよ…。女物の着物は入ってないのかよ…」 「もとから持ってへんし」 「マジか!ありえねぇお前」 …悪うございましたねぇ。 「私は袴しか着たことないっ。…あ、着流しやったらあるわ」 「女じゃねぇよお前。実は男だろ!」 「はぁ!?女じゃ!証拠見せたろか!?」 「いらねぇよ!やめろ馬鹿!」 入り口付近で怒鳴りちらしとる私等を、ごつい目で睨み付ける奴が一人。 「…ほんま五月蝿いんやけど。評判落ちたらどないしてくれはりますの?」 何気に短気な女将さん。 私此処に来てからもう結構怒られた。 廊下走るな、とか暴れるな、とか。 口煩い姑みたいな感じ。 「もとからんな評判ねぇだろ」 晋作、それは言ったあかん!
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