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「無い」
「てめぇあのでっけぇ荷物ん中には何が入ってんだよ!?」
「…袴とかの着替えと小刀と甘味と苦無と「もういい」
指を折りながら何が入ってるか言う私に、晋作は呆れたように溜め息をつく。
「袴かよ…。女物の着物は入ってないのかよ…」
「もとから持ってへんし」
「マジか!ありえねぇお前」
…悪うございましたねぇ。
「私は袴しか着たことないっ。…あ、着流しやったらあるわ」
「女じゃねぇよお前。実は男だろ!」
「はぁ!?女じゃ!証拠見せたろか!?」
「いらねぇよ!やめろ馬鹿!」
入り口付近で怒鳴りちらしとる私等を、ごつい目で睨み付ける奴が一人。
「…ほんま五月蝿いんやけど。評判落ちたらどないしてくれはりますの?」
何気に短気な女将さん。
私此処に来てからもう結構怒られた。
廊下走るな、とか暴れるな、とか。
口煩い姑みたいな感じ。
「もとからんな評判ねぇだろ」
晋作、それは言ったあかん!
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