1-2.幸せの壊れる音

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「音弥ー。まだなのー?」 今日も陽子が迎えに来る。 音弥は弁当を美桜から受け取っていたところだった。 「今行くよ。行ってきます。」 「行ってらっしゃい。気を付けるのよ。」 陽子が迎えに来て、母に見送られる。毎日毎日変わらない日々だと思いつつ、音弥はこの前陽子が言っていたことを思い出す。 『平凡なのは悪いことじゃないよ。望んでも手に入らない人もいる訳だし。』 変わらないことが目に見えない幸せなんだろうか。と音弥は時々考え込むようになった。 「音弥聞いてる?」 「え?」 陽子の言葉で我に帰る。 「ごめん、何?」 「もう。明後日おばさん誕生日でしょ?だからパーティーしようって言ってたじゃない。」 陽子はふてくされてそっぽを向いた。そういえば、明後日は美桜の誕生日だ。何歳になったのかは知らないが…。 「あぁ。で、どうするんだ?」 「だから、ケーキと簡単なオードブル作って音弥んちに行くからおばさんと出掛けててって言ったでしょ!!音弥、大丈夫?」 「大丈夫だ。いい年して母親とデートとは悲しいねぇ。」 「文句言わないでよ。毎年そうなんだから…。」 「別にいいよ。母さんと2人きりなんてこんな日くらいしかないんだから。」 自分で言っていて怖くなる。 俺はいつまで両親と一緒に暮らせるのだろう…。
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