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「お帰り音弥。」
美桜はいつものように音弥を迎えた。憎らしいぐらい、いつもの美桜だった。
「母さん。鞍馬田の話!!あれどういうことだよ!!なんで俺に相談もなしに勝手に決めちまったんだ」
単刀直入に尋ねる。美桜は黙ってしまった。しかし、目はまっすぐ音弥を見ている。
「音弥。これは必然なの。いつかはこうならなくてはならなかったのよ。」
「必然ってなんだ。訳わかんねぇよ。」
「あなたは何があっても私たちの子どもよ。自慢の息子…。」
美桜は音弥を抱きしめた。
まるで戦地に子どもを送り出す母親のように。
「今、あなたの荷物をまとめていたの。」
見るともう迎えが来るのを待つだけの状態になっている。
「子どもじゃないんだ…。荷造りくらい1人で出来るのに…。」
「分かってる。でも私にやらせてそれくらい。」
なぜだかは分からない。しかし、音弥はこの時もうこの家には戻れないような気がした。
「今日、なに食べたい?」
「え?」
「しばらく会えないんですもの。音弥が食べたいものを作りましょう。」
音弥は考え込んだ。いきなり食べたいものを聞かれてもそう簡単には出てこない。
「そうだな…。」
そして音弥は答えを出した。
「カレーがいいかな。母さんが全部1から作った。」
それは、清弥も美桜も好きな食べ物だった。
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