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その時間は刻一刻と迫っていた。
「音弥。早く起きなさ…」
美桜が毎朝のように音弥を起こしに行くと既にベッドは空だった。
リビングに行くと朝食の準備を始めている音弥がいた。
「おはよう。母さん。昨日はよく眠れた?」
「もちろんよ。それよりなによ、音弥。あなた、自分で起きられるんじゃない。」
「これから独り暮らしになるんだからな。自分で起きられないでどうするよ。」
そう言いながら音弥はもくもくとテーブルセットを始めた。
「お、音弥。今日は早いな。」
清弥が新聞片手に2階から降りてきた。
「おはよう父さん。」
「おはよう。今日からお前も鞍馬田生か。実感ないな。」
「1番実感ないの俺だからね。昨日まで平凡なの公立高校の1生徒だったのに。」
「それもそうだな。」
はははと笑って清弥は音弥の淹れたコーヒーをすする。
「お、美味いな。」
「毎日飲んでるからな。」
テーブルについて一息つく。
今日は学校へは行かない。昨日が最後の藍川だったなんて信じられない。
(もっと幸太郎とかと馬鹿やっときゃよかったな。)
鞍馬田に行ったらあんな風にふざけている余裕はないだろう。
ピンポーン。
気づいたらいつもの時間。
あいつが…陽子がまた迎えに来た
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