女神発生論

10/12
前へ
/12ページ
次へ
「なんだい兄ちゃん、あんたも試してみるか」 「否、僕はその」 「ほら、自称王子はすっこんでろ!」  やんややんやと押し上げられ、なんとアーサーは剣を引き抜く挑戦者にされてしまった。  観衆はじっとアーサーの動向を見守り、仕方なくアーサーは剣の柄に手を伸ばした。 『あらあら、あの子本当に挑戦してるわ』  丁度その時、モルファが様子を見に来て、台に立つアーサーの姿を上空から見ていた。  勿論アーサーには全く剣を引き抜けそうな様子はなく、モルファは少し困った顔でその様子を見ていた。  一時的にでも我が主となったアーサー、手伝えるものなら手伝ってあげたいところだ。 『仕方がないわね、多少の怪我は目を瞑ってもらいましょ』  モルファは姿を消し、全速力で剣と格闘するアーサーの背中へと体当たりした。  ぱきぃん!  なんと、剣は引っ張られる力からいきなりの押される力への変動に負け、台から外れたのだ。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加