女神発生論

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 前方に転がりながらアーサーは剣を手にし、やがて高々と無意識に掲げた。  その時、空に晴れ間がわたり日光が照りつけ、雨水できらきらと剣が輝き始めた。 「…真の王だ…真の王が現れた!」  観衆の一人から声が挙がると、その声は大きな歓声となりアーサーを包み込んだ。 「モルファ!どういう事なんだ、説明してくれよ!」 『貴方が王になったのよ』 「王?そんな、みんなに無理だと説明してよモルファ!」 「モルファとは誰の事ですかな、新王」 「モルファは…その、此処へ来いと言った女の人で」 「なんと!新王には女神がついてなさるか!」 「女神ぃ!?」 『女神なんて大層な』  新王には女神がついてなさる!と観衆にすぐに伝達され、引退シルキーだったモルファは一気に女神に昇格してしまった。  長年国王のいなかった城にアーサーは連れて行かれ、その晩は街中祭となった。  哀れラフール王国の王子は、うやむやのうちに街を逃げるように出ていく羽目になった。
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