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彼女はシルキー。
他のシルキーに比べ大分年を食い、でっぷり恰幅よく育ったおなか周りも愛らしく見えるお婆さんだ。
シルキーの制服ともいえる灰色のドレスを大きなおなかで膨らませ、ぷっくらした指で握った専用箒をリズミカルに揺らし、彼女は森の奥にある古ぼけた屋敷に降りたった。
引退を考えていたシルキー、モルファはこの屋敷を最後の家に決めた。
今後はこの屋敷をそっと守りつつ、朽ちていく屋敷と共に静かな最期を迎えるつもりだった。
モルファは早速掃除を開始し、屋根裏から玄関までぴっかぴかに磨き上げ、壊れた家具は修理し、欠けた皿を飾り付け、割れたグラスの埃を払った。
誰が来ても完璧に迎えられる程、ボロボロだった屋敷は綺麗に生まれ変わった。
そこに、途方に暮れた青年が一人やってきた。
騙されて裸一貫で街を追い出された哀れな男、アーサーは一晩の宿を乞おうと屋敷へと足を向けた。
それが、女神の生まれた瞬間だった。
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