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アーサーはいきなり現れた空飛ぶ箒と、その上に乗ったお婆さんというメルヘンな組み合わせに目をぱちくりさせた。
老婆はアーサーの目線にその大きなお尻を見せる形で箒に横乗りし、まじまじと顔を覗き込んだ。
『おやおやおや…貧相な顔をした坊やだこと。どうしたんだい、宿がないのかい?』
訊ねられた事にアーサーは首を縦に振るしかできなかった。
『ほらっ!口があるんだからちゃんとお喋りよ!今夜一晩泊まるくらいならかまやしないよ、食べ物はないけど暖かいベッドなら沢山あるからねぇ』
「あ、なたは、魔女ですか」
『魔女!いやだよぅ、私には掃除をするくらいしかできやしないさ』
「でも、飛んでる…し」
『箒は私達シルキー族には、親よりも一緒にいる時間の長い大事なものなのさ』
アーサーにはよくわからなかったが、とにかく悪い魔女ではない事に安心し、一晩の宿を借りる事に決めた。
「僕はアーサー、宜しく」
『私はモルファってんだよ、宜しくねぇ』
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