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次の日、アーサーは屋敷から出ていかなかった…というより出ていけなかった。
大雨が降り出し、外へでられそうになかったのだ。
『もう一泊決定かしらね』
「僕は急ぎの用事はないですが…」
土砂降りの雨の中、遠くから馬が走ってくるのが見えた。
「モルファ、誰かがきたよ。この屋敷の人かな」
『この屋敷は主を失ってかなり経つから、貴方と同じ旅人さんじゃないかねぇ』
馬が屋敷の敷地内にはいってくると、モルファはくるんと回転するようにして姿を消した。
「モルファ!?」
『対応は貴方がしてちょうだい。一時的に貴方がこの屋敷の主よ』
声だけ残して、モルファは屋敷の闇へと溶けていった。
こんこんこん
外からノックされ、アーサーは慌てて扉を開ける。
そこには精悍な顔つきの、アーサーと年の変わらない男性が立っていた。
「失礼、突然の大雨に遭い雨宿りをさせてほしい…ご主人はいらっしゃいますか」
「え、っと、その」
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