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言葉に詰まっていると、背中をツンツンとつつかれる感触がする、モルファだ。
「ぼ、僕がこの屋敷の主です!今だけだけど…と、とにかく!どうぞ」
「これはまた失礼を。では、少しの間ご厄介になります」
見れば見る程しっかりとした青年、着ている服もかなり高価なもので、腰に下げた剣は柄に沢山の宝石がはまっている。
アーサーはじっくり観察し、やがて彼が隣国の王子である事に気がついた。
「そ、その、僕はアーサーといいます」
「奇遇ですね、私もアーサーです」
「存じております。貴方は隣国のラフール王国の王子様ではありませんか!…僕が追い出された街でもあるけど…」
「追い出された?」
「いえ、こっちの話です」
アーサーは追い出された日の情けない自分の姿を思い浮かべた。
「そ、それより王子が何故こんな辺鄙なところに?」
「ファルクスの国にある「王者の剣」を探しに来たんですよ。ラフール王国は弟に任せ、私はファルクスの王になるのです」
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