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「王者の剣というと、王にふさわしい者だけが抜く事ができるという剣ですか!王子なら必ず抜けますとも!」
「ありがとう。ところで、少し休みたいのでベッドをお借りできると嬉しいのですが」
「どうぞどうぞ、ベッドなら沢山ありますから」
アーサーは王子をベッドのある部屋に案内し、一人になったところで漸く一息ついた。
『王者の剣とはまた懐かしいわねぇ』
「ぅわあっ」
『私が若い頃には沢山の人がその剣に挑んでいたわ。今じゃ誰も抜けないただのオブジェになっているけど』
「本当にあるんですか」
あるわよぅとモルファは言った。
この屋敷から南へ向かった先にある街の中央にあるらしい。
今は鎖で囲われた、ただの錆びた剣なのだそうだ。
『本物の王ならば錆は綺麗に落ち、きらきらと輝くそうよ』
「王子なら簡単に抜いてしまうんだろうなぁ」
『あら、貴方だって抜く可能性はあるのよ?』
「僕なんか無理さ。一ミリだって動かせやしない」
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