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ファルクスは屋敷からとても近くにあった。
半時間も歩かぬうちにファルクスに入った二人は、すぐに王者の剣のある街の中央を目指した。
王者の剣は観光名所となっているようで、ツアー客がぞろぞろと剣の前を列をなして歩く。
「さて、これから歴史的瞬間をお見せしよう…皆さん!私は隣国のラフール王国より参りましたアーサー王子。これよりこの王者の剣を見事引き抜いて見せましょう!」
王子はわざと人目を集め、剣のある台へと上った。
周囲は忽ち人混みに取り囲まれ、王子は少し高い位置から手を振ってこたえる。
「では、ご覧あれ…ふん!!」
王子は力一杯剣を引っ張りあげ、何とかして引き抜こうと必死になっている。
顔を真っ赤にし、何度か手を変え体勢を変えしながら格闘するも、剣は一向に抜ける気配がない。
「おかしいな…ふん!!ぐぬぬぬっ」
やがて観衆からヤジが飛び始めた頃、アーサーはどんどん背中を押され、とうとう台の前へと飛び出した。
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