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毎年、祭りの時期になると来る人。
夕闇と人混み、祭り囃子がその人の世界。
アタシと姉、その人、祭りの風景で全てが揃う。
アタシはいつも普通の服で、姉は浴衣を着ていて、あの人も浴衣を着ていて…アタシは後ろをついて歩く。
遠くで花火が上がり、赤や緑に色づけされた二人をぼんやりと眺めていると、アタシは此処にはいなくてテレビを観てるんだと思う程に世界から隔離された気分になる。
そんな時、アタシを世界に戻すのはいつもあの人のこの言葉だ。
「どんぐり飴買うたろか、はっかちゃん」
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