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・開花
暫くして君は、いつもと違う表情を見せるようになった。
なんだか、嫌がっている。
立つ場所もバラバラになって、それでも何かから逃げようとする表情は変わらない。
そして分かったんだ。
君の後ろに立つ男がいつも同じ奴だって事。
君は毎日痴漢に遭っていた、それもいつも同じ男に。
ボクはそいつを取り押さえ、駅員に引き渡してやった。
「ありがとう御座います」
君と初めて交わした会話、その時鈍いボクはやっと気付いたんだ。
ボクは君に惚れていたんだ。
時間を気にし去っていく君の後ろ姿を見ながら、ボクは言いしれぬ喜びを感じていた。
奇妙なものを見るような目線も気にせず、ボクは浮かれた足取りで次の電車を待った。
ボクの頭の中は君への思いと、君との繋がりができたことでいっぱいだったからね。
君も嬉しかったでしょ?
あんなにも明るい顔して、嬉しくなかった訳ないよね。
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