幻想少女恋愛譚

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 ある日、それは訪れはした。  放課後の図書館、私一人の空間、そこに彼女…美咲が入ってきたのです。  その時交わした会話は全て覚えています。  彼女は消石灰にまみれてやっとの様子で立っていました。  いじめです。  先輩に能力を妬まれ、酷いいじめを受けて図書館へ逃げてきたんです。  美咲は私を見ると、倒れ込むように図書館に入ってきました。  私はすぐに美咲を奥へ連れて行き、図書館の前に舞い散った消石灰を箒で掃き消してしまい、図書館に入って中から鍵をかけてしまいました。  図書館の前をバタバタと走る音がしましたが、幸い美咲は見つかることなく図書館の奥で座り込んで恐怖に震えていました。 「もう大丈夫ですよ、えっと…兎月さん」 「…ありがとう、香坂さん」  初めて近くで見る美咲はとても綺麗で、睫の長さがとても印象的でした。 「香坂さん…は、いつもボクの練習を見ていたね」 「あ…うん…図書館の真ん前だし…」  いつもキラキラしていたし…。
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