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「ボクも見ていたよ。…今言うことじゃないね、ふふっ。でも、いつも勉強熱心だなって思っていた」
私の頬は紅潮しました。
いつも見ているのは私だけだと思っていたのに、実は美咲も私のことを見ていたんです!
「わ、私はただ…本を読むことしかできないだけで…」
「そんなことはないよ。ボクを助けてくれたじゃないか。ボクはずっと思ってたんだ、ボクの姫はこの学校にいるって!」
姫…なんて甘美な言葉でしょう。
私はすっかり美咲の話に取り込まれてしまいました。
「姫はいつもボクのそばにいる、それなのにぜんぜんそんな感じの人はいなくて、五月蠅い花ばかりがボクの周りを埋め尽くすんだ。でも、今分かったよ。姫はずっとボクを見ていた。君だよ、恵美」
美咲は私の前にひざまづき、すっと白く細い指を揃えて手を差し出してきました。
その姿はまさに騎士。
凛々しい美咲の姿に私は惚れ惚れしました。
「ボクの姫、漸く見つけました」
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