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「ボクの姫は恵美じゃなければならない。だから、姫と騎士の契約を交わそう」
「契約?」
「血の契約だよ」
私は少し怖くなりました。
それでも、美咲と時間を共有できること、その誘惑に負け、私は血の契約を受けることにしました。
「それじゃ、ボクの言うとおりにするんだよ」
私はこのあとの美咲の言葉を一言一句間違えずに覚えています。
「お互いの血を混ぜるため、ボクは君の、君はボクの血を飲み干すのさ。それは多ければ多いほど強い契約になる。だから、ボクは恵美に心臓を差し出すよ。恵美は何をくれる?」
「私も!心臓を差し出すわ!でもどうやって?」
「簡単さ、これで…一突き」
美咲は古めかしいデザインのナイフを持っていました。
それは柄の部分が木で、両刃の小さなナイフでした。
刃の部分には細かい字でなにやら呪文めいた図柄が彫られ、胴の中心に真っ赤な…あれはルビーかしら…とても綺麗な石がはまっていました。
美咲はそれを…。
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