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「それで、心臓は!心臓は…食べたのかね」
廊下まで響いていたらしく、看護士に怒られ声を低くする。
「心臓?美咲の?食べたかしら、食べたわね、食べたの?」
これは話にならないな。
兎月美咲の心臓は確かになくなっており、このイかれた少女の話を信じるならば…恵美が食いきってしまったことになる。
つまり、その時点で美咲は死んでいるのだ。
だが…。
「と、なると、恵美の心臓にかぶりついたのは誰だ」
恵美は心臓の一部を食いちぎられ、そんな状態で奇跡的に生きている。
生きているどころか叫んで暴れ始めている。
「とりあえず、落ち着いたらまた話を聞きに来る。お大事に」
オレは病室を出、喫煙ルームで煙草を吸いながら考えた。
恵美は本当に心臓を差し出して美咲に食わせたんじゃないだろうか。
そこで、魔術的な何かの力で恵美だけ生き残った…。
「漫画じゃあるめぇし」
オレは吸いかけの煙草を灰皿に押しつけた。
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