犬と幽霊 月

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雨が降って、寒い、おなかすいた。 あんな事言うんじゃなかった。 でも今更帰ってアイツ等に馬鹿にされるのもイヤだ。 そんな事を考えてる時だ、遠くに明るいトコがあった。 人がいるかもしれない。 少し怖かったけど、逃げようかとも思ったけど。 オレの脚はそんな考えとは逆に進んでいく。 近づくにつれ、凄くキレイな水の匂いがしてくる。 街にいた時には殆ど飲めなかったキレイな水。 ふらふらになりながらも、オレはその匂いの方へ歩いた。 池が、あった。 雨が降ってて暗い森の中に、ソコだけぽっかり明るい池。 オレは疲れを忘れて駆け寄り、腹一杯にその池の水を飲もうと思った。 あと一歩、あとは首を伸ばして水に 「水を汚すんじゃねーぞこの駄犬」 オレの体はぽーんと景気良く蹴り飛ばされた。 七月に入って四つ目の日、雨の降る夜中の話だった。
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