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それから、どうやって帰ったかなんて覚えていない。
ボクは一週間ばかり口も聞けず、部屋から出ることもできなかった。
自転車とノートは学校にあったらしい。
外にあったはずのボクの自転車は朝礼台の上に、まるで高いところから落としたかのようにボロボロになって倒れていたときいたし、ノートにいたっては中を確認した先生が悪質な悪戯だといって処分してしまった。
今はあの女の子に関して色々予測することができるくらいには回復している。
あの子は寂しかったんだ。
友達がほしかったんだ。
そう考えて、少しでも気分を軽くすることはできるだろう。
でも、素直にそうは思えない。
あの子は今もあの朝礼台にいて、次の犠牲者を待っている。
あの子は、新しい毬を待っている。
あの体と頭は同一人物とはどうしても思えないのだ。
今でも鮮明に思い出す。
最後に聞こえたあの声。
『ねぇ…交代してよ』
―終―
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