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じりっじりっ…摺り足気味の靴裏で運動場の砂がなる。
真横へと移動した頃、女の子の体が大きく跳ねた。
反動で浮いた上半身、肩から先、あるはずの球体が見当たらな…。
ごぼっ!
びしゃっ!と水が地面に落ちる音がして、ボクの目は跳ね続ける体に釘付け。
ボクの喉からはヒュゥ…と、潰れた悲鳴が小さく抜ける。
頭のあるはずの場所からは、赤黒い液体が絶え間なく吐き出されている。
どれだけそのまま固まっていたろうか、ふと視界の端に黒い物が動いた。
見たくない。
見たくないのに。
ボクの首はギチギチと音を立てている気がするほどぎこちない動きで回り、地面に落ちている黒い物に目線があわせられた。
そこには、長めの髪を地面に広げ、逆さまになって転がる女の子の…満面の笑みの生首が転がっている。
その目は目尻が裂けるのではと思われるほどに開かれ、口元は赤い三日月が張り付いているかのようだ。
「ぁ…助け…」
朝礼台の体がむくり起きあがる。
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