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先程まで激しく痙攣していた体、それは今軽やかに朝礼台から飛び降り、地面に落ちた頭をひょいっと持ち上げた。
―くすくすくす…―
可愛らしい笑い声。
これは、生首と、頭のない体と、どちらから聞こえているのだろう。
後退り、痛いほどにボクの体内を駆け巡る血液を感じながら、どうやって逃げるかを必死に考える。
女の子は、やがて胸元で支えている首を落とし、けして跳ね返るほどの弾力があるようには見えない頭で毬つきを始めた。
落下しながらゆっくりと角度を変える頭は、なお暗い物陰となった場所にいながらも、生々しい切断面をはっきりとボクに見せる。
そしてその正気を保っているようには見えない見開かれた瞳は、焦点はあっていないのにボクをじっと見ているようだ。
―ふふっ…ふふふ…―
じりじりと距離を詰められ、ボクはすっかり逃げるタイミングを見失った。
一歩、また一歩と近づく女の子。
学校の外で大きなクラクションの音が響いた。
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