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音に弾かれ、ボクは全速力で門へと走る。
脚がもつれ、転びそうになりながらも必死に走った。
―ふふっ…ふふふ、あはは―
声はボクのすぐ後ろ、ぴったり背中に張り付いてるかのような近さで、それでも呼吸なんてものはまったく感じられない。
とん…とん…とん…
頭が地面につく音が、無邪気な笑い声に混じって聞こえる。
足音だ。
毬つきの音がこの女の子の足音なんだ!
ならば、声に惑わされてはいけない。
まだ、十分に距離がある!
この大事な距離を縮めないためにも、ボクは悲鳴を上げる脚にさらに力を込める。
少し足音が遠くなった。
ほっとしたボクは気を抜いてしまい、女の子を振り返ってしまった。
遠くに見える女の子。
ゆっくりとつく毬…頭の速度は、急に格段と早くなり、大きく開いた距離を一気に縮めんと駆けてきた。
「ひっ…!!」
油断した分脚から力が抜け、地面を蹴り損ないながらもたもたと門へ向かい逃げる。
もう少し…もう少しだ!
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