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門へと続く坂へと辿り着き、勢いに任せたまま坂を駆け下りる。
開いている門が、少しずつ、誰も触っていないのに閉まりつつあった。
閉まりきったら逃げられない!
最後の力を振り絞り、ボクは門の隙間へと手を伸ばした。
がつん!と手首を挟まれる。
そんな些細な痛みより、命の危機を訴える本能が先に立つ。
いつもの倍ほど重く感じられる門を開くと、ぐいっ…と、服の裾を引っ張られた。
心臓の音がうるさい。
この後ろへ引っ張られる力は明らかに女の子のもの。
地面を見つめ、肌寒いはずなのに頬を伝う汗を感じながら、少しずつ力に逆らい前へと進んだ。
意外と女の子はあっさりと手を離す。
あとは門をくぐってしまえば終わりだ。
こつん
頭に何かがぶつかった。
顔を上げてみる。
少し高い位置、髪を門に絡ませぶら下がる女の子の頭が、風に揺れる度にボクの額にこつんこつんとぶつかり、目が合い、
『もう、いっちゃうの?ねぇ…―』
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