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2回3回と大きく息を吸い込み、落ち着いたのか俺の方をしっかりと見据える。
何だろう? やっぱりなにかあるんだろうな。
「今日は、生人の好きなラザニアを作りました! ご飯にする? それとも……わ・た・し?」
彼女の口から出た言葉は破壊力がありすぎて、ここだけ時間が一瞬だけ止まったかのように静寂が来る。
俺はと言うと、見た目はキョトンと鳩が豆鉄砲を食らったかのようにしているが、心の中で両腕をあげて「いぃよっしゃーー!」と喉をつぶすほど叫んでいる。
ただいまのチュウはなかったけど、やっぱり「ご飯? お風呂? それとも、わ・た・し?」は全宇宙に存在するカップルの常識。というか、息をするかのように繰り広げられている光景のはずだ!
「生人? あの……」
少しだけ、間が空いたので不安になったのだろう。彼女が恥ずかしそうにうつむきながら呟く。
俺としたことがこんな事で硬直してしまうなんて、まだまだ修行が足りないようだ。それに答えは既に決まっている!
「うん、それは」
ピンポーン!
俺の部屋のチャイムが鳴り、我に返る。当然、そこには誰もいない。俺だけしかいない部屋だ。
いいところで妄想がとめられたよ。
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