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<特別>大監房への鍵を使って中に
入ればシュラが燐を突き飛ばした
「途中から借りてきた猫みたいに大人しかったな。」
「…お前、親父や雪男…優姫と知り合いなのか?」
「まーな。アタシは藤本獅郎の弟子だったんだ。」
「弟子!?あのジジイ、弟子とかいたのか!?」
「お前らが生まれる前の2年間な。ただ毎日生きる為に生きてたアタシを…<救い出してくれた男>……大昔の話だ。」
その話は神父(とう)さんから
聞いたことがある…。シュラとは
訓練生(ペイジ)の時に初めて
出会った。確か訓練生(ペイジ)に
なってすぐだったから5歳か。
燐は静かに何か考えている…。
「……うっ!」
よろけてしゃがみ込むシュラ。
どうやら左肩か左胸を押さえて
いるようだ……が、俺はシュラに
騙されたりなどしない。
「!?ど、どうした…さっきやられたか!?」
慌ててシュラのそばに行く燐に
対してシュラの顔に笑みが浮かび
上がったのが俺には見えた。
シュラは燐の持つ降魔剣を弾いて
奪い取った。
「なわきゃないだろ。」
「!?」
「バーカ!ベタな手に引っ掛かりやがって…これで二度目だぞー?そんなに何度も他人にプレゼントしちゃうような代物だったのか?コレ。」
表情を歪める燐。
そうだよな、神父(とう)さんに
「命より大事な物」で「肌身離さず
持っていろ」と言われていたのに
二回も他人に奪われたのだから。
「なわきゃねーだろ!!!!」
怒りと悔しさから
剣を抜いていないのに
青い炎が現れる。
「!…“八つ姫を喰らう”…」
シュラに困惑の表情…。
きっと昔のことを思い出している
んだろうな。こいつら2人に
とっては、藤本獅郎の存在は
大きかったからな。
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