宝物

5/8
前へ
/33ページ
次へ
総太先輩は困ったように苦笑いをする。   「いつの間にかそんなおねだり上手になって…。大丈夫、帰す気なんてさらさらないから。それにそんな事言われたらとてもじゃないけど帰せない。」   顔が段々近づいてきてキスされる。 今度は深い深いキス。   「ンッ…フゥ…。」   音をたてて唇を離されると僕はボーっと総太先輩を見つめて問いかける。   「いつまで仕事忙しいんですか?」 「わからないな。多分今月中は忙しいかな。」   今月中って…今月始まったばかりじゃん。 我が儘かもしれないけど、また会えなくなると思うと寂しくて肩に顔を埋める。   「恭?」 「……また暫く会えなくなるんですか?僕…寂しい…。」   こんな事言ったら困らせちゃうかな? でも黙ってる事なんて出来なくて…   「恭、手出して目瞑って?」 「へ?」 「早く。」   手…?なんで? 総太先輩の首から腕を解いて両手をだすし目を閉じる。 なんかひんやりと冷たい物が手の上に置かれた。 なんだろ?
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

186人が本棚に入れています
本棚に追加