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1年生たちは気の毒そうにゼロへ視線を向ける。
しかし、ゼロは気にした様子もなく、教壇の上に置いてあったファイルから紙の束を取り出してガルシアに差し出す。
「俺とカレルの分のレポートだ。
今すぐ提出できるぞ」
「なっ……!?」
驚いているガルシアを見て、ゼロは相変わらずの無表情で言った。
「こんなこともあろうかと、昨日のうちに用意しておいた」
ガルシアは呆れて肩をがっくりと落とした。
「……お前らは用意周到すぎだ」
「計画的な完全犯罪と言ってくれ」
「……なんでお前たちはこんなところで才能の無駄使いをするんだ」
そんなガルシアの嘆きに、ゼロは無表情のまま顔を赤らめて言った。
「褒めるな。照れる」
「褒めとらんわ!
……はぁ、もういい。
カレルを回収して昼休みにしていいぞ」
ガルシアの言葉にゼロは頷いてから、淡々と尋ねた。
「ガルっち、この授業の後、新入生クエストのことを連絡するんだろう?」
「……あぁ、そうだ」
ガルシアが頷いたのを確認すると、ゼロはアレスとステラに向かって言った。
「アレス、ステラ、お前たちは俺たちとパーティーだ。
2年生にも当てがあるから任せておけ」
そう言うと、ゼロは訳が分からず返事を出来ずにいる1年生たちを残し、講堂を出ていった。
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