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「見た感じ、2人ともこの街出身じゃなさそうだからな。
こうして会ったのも何かの縁ってことで、困ったことがあったらお兄さんたちに頼ってきなさいな」
カレルはそう言ってニカッと笑い、2人の肩を叩く。
「あ、ありがとうございます!」
ステラは頭を深々と下げ、その横でポリポリと頭を掻いてアレスが言った。
「サンキューな、先輩」
お礼を言う2人にカレルはニカッと笑い、ゼロは無表情のまま頷く。
すると次の瞬間、カレルたちが突然後方を振り返った。
「……カレル、逃げるぞ」
ゼロの言葉にカレルは頷き、アレスたちの方へ視線を向けてIDカードを指差した。
「IDカードを隠して!
そんで、俺たちのこと聞かれたら、知らないって答えといてくれ!」
そう告げると、2人はアレスたちの返事を待たず、足早に人ごみに消えて行ってしまった。
「……逃げるってどうしたんだろう?」
ステラがキョトンとして尋ねると、アレスは同じような表情で首をかしげた。
「さぁ?
でも悪い奴って感じじゃなかったし、一応頼まれたことはやるか?
なんか追われてるみたいだしさ」
アレスはそう言って、渡された2枚のIDカードを内ポケットにしまう。
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