2人の問題児

7/22
前へ
/689ページ
次へ
「見た感じ、2人ともこの街出身じゃなさそうだからな。 こうして会ったのも何かの縁ってことで、困ったことがあったらお兄さんたちに頼ってきなさいな」 カレルはそう言ってニカッと笑い、2人の肩を叩く。 「あ、ありがとうございます!」 ステラは頭を深々と下げ、その横でポリポリと頭を掻いてアレスが言った。 「サンキューな、先輩」 お礼を言う2人にカレルはニカッと笑い、ゼロは無表情のまま頷く。 すると次の瞬間、カレルたちが突然後方を振り返った。 「……カレル、逃げるぞ」 ゼロの言葉にカレルは頷き、アレスたちの方へ視線を向けてIDカードを指差した。 「IDカードを隠して! そんで、俺たちのこと聞かれたら、知らないって答えといてくれ!」 そう告げると、2人はアレスたちの返事を待たず、足早に人ごみに消えて行ってしまった。 「……逃げるってどうしたんだろう?」 ステラがキョトンとして尋ねると、アレスは同じような表情で首をかしげた。 「さぁ? でも悪い奴って感じじゃなかったし、一応頼まれたことはやるか? なんか追われてるみたいだしさ」 アレスはそう言って、渡された2枚のIDカードを内ポケットにしまう。
/689ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70113人が本棚に入れています
本棚に追加