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マスターは、どう見てもその男よりも若そうな見た目の青年なのだが、その爽やかな顔と不釣合いなダンディズム溢れる声から、童顔なのだろうと俺は推測する。
俺がテーブル席の一つに座ると、マスターは指をパチンと鳴らした。
すると、
「あーい、呼んだー?」
という可愛らしい声とともに、カウンタ―の横のスタッフオンリーと書かれた扉から、女性の店員が現れた。
こちらは、見た目だけで言うとモロに女子高生なのだが、バーで働いていて良いのだろうか。
マスターは目の動きだけで店員に指示をすると、
「マスター、いつもの」
と言う男の注文に応えていた。
どうやら、男は常連らしい。
「はいは~い、ご注文は?」
いつの間にか俺の席の横に女性店員が来ていた。俺はざっとメニューに目を通し、適当な銘柄の日本酒を注文した。
男の言う"いつもの"は、芋焼酎だった。
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