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しばらくして、運ばれてきた日本酒を飲んでいると、カランコロンという音が店内に響き渡った。
来店したのは、豊満なボディを持つ女性だった。
なんというか、豊満だった。
決して俺の語彙力が少ないわけではなく、そうとしか表現してはいけないのではないかと思うほどの豊満なボディだった。
「どうぞ、お好きな席に」
とマスターがそのダンディーな声で言うと、女性は迷うことなく、カウンターの男とは反対側の隅に座った。
それに鋭く反応したのは男だった。
男は、ベルの音がした瞬間に振り向き、女性の姿を視認するやいなや、
「……ほぅ」
と呟いた。
俺は男の背中が見える位置に座っているのだが、それでも男の呟きが聞こえた。つまり、男の言葉は呟きでも、呟き声とは程遠い大きさの声だったのだ。
男は、マスターにこう言った。
「マスター、注文を」
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