田中くん

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わたしも何処か変わったのかな…? そんなことを思っていると 昌也くんはわたしに紙袋を 手渡した。 「これ、みんなで食べて。 こんなもので申し訳ないけど…」 わたしはその紙袋を受け取り 御礼を言… えない こんな時に、増してや 昌也くんの前なのに、 御礼すら言えない。 やっぱり6年ぶりで まだ慣れないのだろう 何か喋ろうとすると、 胸がどきどきして思うように 言葉がでて来ない。 昌也くんの前なら昔みたいに すこしは話せると思ったのに。 わたしはこんな自分が 憎くて、悔しくて、 グッと下唇を噛んみながら俯き、 昌也くんの言葉に頷いた 昌也くんの表情はみえなかったが 多分、不思議に思ってるだろう わたしが俯いていると、 昌也くんはわたしの頭に手をつき 「じゃあ、おばさんとおじさんに 宜しく。 それと…明日から俺も遥と同じ高校に通うから。また仲良くしような」 そう言いながら、 昌也くんはわたしの頭にある手を ぽんぽんと、バウンドしてみせた .
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