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(さっきから能力は発動したままにしてるけど…………この森には私達以外誰もいないわね。 まさか……)
「ねぇ君はお父さんとどうやってここに来たの?」
私は子供の目線に合うようにして聞いた。
「…………車」
「車だね。 ありがとう」
(車ってことは…………。 当たってほしくない予感が当たったかもしれない)
「これだけ探していないなら、お父さんが家に帰ってギルドに連絡してるかもしれないから、家に連れていきたいけどお家の住所分かる?」
「住所は分からないけど……巻南村【かんなんむら】に住んでるよ」
「巻南村だね、教えてくれてありがとう」
(たしか巻南村までは車で行っても、なかなかの距離があったはず。 まぁ『車より早く走れば』いいだけなんだけど……この子が私を警戒してたら無理なんだよね。 ……駄目元で聞いてみようかな)
「あのね、巻南村までは車で行ってもそこそこ時間がかかっちゃうんだ。 それで、それより早く帰れる方法があるんだけど、そのために君を抱っこしたいんだけどいいかな?」
私は両手を開いてこの子の行動を待つことにした。
子どもは目を泳がせ、手を出そうとしては引っ込めるを繰り返していたので、やっぱり違う方法を考えようとしたとき、子どもが目を強くつむりながら私に両手を開いた。
私は子どもにありがとうと言ってから抱き上げた。
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