運命の出会い

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私はまず森から出て、巻南村までのルートを思い浮かべてから能力を発動した。 私はこれから音速で走るから瞼とかを風で切らないようにゴーグルをかけようとしたが止めた。 どこか風の流れがおかしく、皮膚を切るほどの強さがなさそうだったが、この子が傷つくといけないのでまずは切れるか切れないかのギリギリで能力を発動することにした。 「“音速移動”【ソニックムーヴ】」 (体に負担がかかるのと、傷を負うからあまり使わない技なんだけど……やっぱりおかしい。 特に天気が荒れているわけでもないし……まさかこの子は“風”の能力を持っているのかも) その可能性を考えたとき、私の予感は『この子は能力者だから捨てられた』という確信に変わった。 最近は少なくなってきてはいるが、やはり能力をもって生まれたというだけで捨てられてしまう子や差別・虐待をされる子がいる。 (やっぱりまだ警戒されてるか……、でもこんなに警戒している子が主張するってことは、だいぶ我慢させちゃってたんだろうな) 私は少し残念な思いと、次は痛くしないようにという思いで、腕の中にいる子どもを優しく抱きしめた。 でも、この子の家に着いて私は 自分の考えなど甘すぎると感じるほど、この子が捨てられた理由はあまりにも非情で身勝手なものだった。
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