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家を目指している間に、周りは夜の闇に包まれていた。
「……ここがお家」
暗闇でどんな家か詳細には分からないが、この子が指を指した家に向かいインターホンのボタンを押した。
『どちら様ですか?』
「夜分にすいません、ギルドの者です」
インターホンから聞こえる声は若い女性のものだった、この子の母親だろう。
『分かりました。 今ドアを開けに行きますので』
それからすぐにドアが開かれ、中には若い男女がいた。
「あの……ギルドの方がなんのご用でしょうか?」
「実は先程ここから離れた森でこの子に出会いまして、確認するとこのお家だと分かったもので」
私がこの子の両親と思われる二人の前に子どもを下ろしたとき、二人は一瞬顔をしかめたのに私は気づいてしまった。
「そんな子は知りません。 家の子は今私のお腹の中にいる子だけです」
それを言ったときの母親の目には、軽蔑の念が込められて、私の服を摘んでいた小さな手が震えだした。
「この子はたしかに“風”の能力を持って生まれて来ました。 でも……だからって捨てることはないんじゃないですか?」
私は横で震えている子がいるから、なんとか怒りを抑えて話すことができた。
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