僕のハジマリ

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 声は廃墟から聞こえてくるみたいだ。  隣にそびえたつ、すたれた建物。  外装は剥がれコンクリートがむき出しになったビル。  さびれたフェンスにもたれかかり、少女がつぶやく。  「あなたは雨が好き?」  長髪を揺らし彼女は僕を見ていた。  鮮やかで怖いくらい綺麗な赤い目をしていたことを覚えている。  次第に雨はひどくなり、雨粒は僕とこの街を赤く濡らしていく。  「あなたは雨が好き?」  ……僕は…。  いつの間にかそばにいる彼女。僕の表情から答えを待ちわびる。 赤い瞳はまるで心の底に覗き込まれているかのように不快だった。  ……僕は…。  「ドスッ」  鈍い音が響いた。  喉にくる激痛。  喉元に突き刺された黒い刀。  ドロドロと流れる血を指で触る。  それは温かくて、自分の中のモノだと確信する事ができた。  僕は雨が…嫌いだ…。  街灯の明かりはだんだんと消える。  そばに置かれた死体を隠すかのように。  また新たな同士を密かに迎えるように。
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