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引きこもりを始めてから二回目の春がきた。 単に季節としての春であり、青春的意味合いを持つ春は高校二年生で初めてできた彼女と別れて以来、一度も訪れてはいない。 オレはいつも通り昼過ぎに目を覚まし、閉じていたカーテンを開けた。 アパートの窓から見える公園の桜の木が、人間の底辺を右往左往しているオレに対する当てつけのようにきらびやかな桃色の花を咲かせていた。
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