出会いと始まり

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「な~にやってるの?」 その子が話しかけてきたのは、放課後のこと。 僕は学校の近くにある山で、昼寝をしているところだった。 「なにって……昼寝だけど」   この頃の僕は人見知りで、人と話すことが得意ではなかった。 だから、彼女と話すのも、最初は嫌だった。 「ハハッ。昼寝だってことは見ればわかるよ」 何故か笑っている。 陽気な人なのかな、と僕は思った。 「それにしてもさ、こーんな急斜面で昼寝しなくてもよくない?」 彼女はそう言って、僕の隣に腰かけた。 まぁ、昼寝だけなら山には来ないけどさ。 と、思ったけど話す気になれず、代わりにこう言った。 「竹……。見に来た」 しかし、彼女には説明不足だったらしく、彼女は首を傾げていた。 僕は何も言わず、自分が寄り掛かっている竹を指差す。 「へぇ、こんなところに竹があったんだ~」 と、彼女は驚いた様子を見せた。 ちょっと後ろ見れば気づくだろ、と思いつつ、僕は彼女の天然気味さに興味を持って、尋ねてみた。 「名前は?」 すると、彼女はなぜかあわてた様子になり、 「二魅堂癒沙(にかいどうゆさ)です」 何故か敬語で名乗り、 「そっちは?」と、返してきた。 この時の彼女の言葉は、今までに無いほど、不器用だった気がする。 「伊吹迅(いぶきじん)」 「イブキ? 寝ているときに鳴るヤツ?」 「それはイビキ」
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