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私は、キョンちゃんたちに一連の流れをかいつまんで説明した。
城座くんからショートフィルムの話は秘密にして欲しいと言われていたので、その辺はうまく誤魔化しておいた。
「ふーん。
ナオの恋を知って協力してくれる王子って、本当に性格もいいんだねぇ!欠点ナシじゃん!」
「あ、うん。
なんかね、アドバイスもしてくれて。
優しいよね。」
「ナオ、山下くんと仲良くなれて、よかったね。
でもさ、天然の子が好きなんて…ちょっと趣味悪いなぁ。」
ミホちんが笑顔でさらっと言った。
「杏子もそう思う!
天然なんてね、言い方変えれば空気読めない女だよ!
しかも、ちょっとボケてるだけで、実はけっこう腹黒かったり計算高かったりするのにさー。
男にはそーゆーの、わっかんないんだろうねー!」
キョンちゃんは腹が立ったのか、ポテトをまとめて口に頬張った。
確かに…
天然の子は学校にも何人かいるけど、男の子ウケはいいけど女子からは敬遠されがちだった。
元カノって、どんな子だったんだろう…
気になってしょうがなかった。
「それにしてもさ!
王子って、ナオとちょっとしか話したことないのに、妙に言い得てるよね!」
「本当だよね。
愚か、は、すごい言い回しだけど。
ナオは頭はいいのに、ドジで要領悪いってことでしょ。」
「う…ホント、その通りだよね…」
返す言葉もなく、うなだれる。
「でも、そういうとこがナオのかわいいとこでもあるからね。」
「そーそっ!
ナオらしく、素直に山下くんにぶつかっていけば、すぐ落とせるって!
王子もついてくれるんだし!」
2人の愛のある言葉に、ジーン…
「うん、私、がんばりますっ!!」
ガシャン!
勢い余って、ジュースを倒してしまった…
「あーあ、こうゆうとこだよね…」
「うん、杏子やっぱ心配になってきた…」
す、すみません。。。
帰る頃にはすっかり日が暮れていた。
家までの道のりで、ふと空を見上げると、空には地上の明かりに負けないようにと頑張って光る星があった。
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