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校門の近くで、熱くなった頬を押さえながら、ふともう一度山下くんを見たくなって後ろを振り返ろうとすると。 私の視線は、その手前で止まってしまった。 校門の横の、図書館の陰では、宮ちゃんとダイ先輩が抱き合ってキスしていた。 ひゃ、ひゃー!! 今まで以上に心臓がドキドキし、激しく動揺してしまった。 陰とはいえ人目につく場所で、おとなしい宮ちゃんがそんなことをするということもビックリだし、普段からは想像できない大人の女のような恍惚とした表情にもビックリだった。 思わず立ちすくんでしまっていると、 宮ちゃんを抱きしめ熱いキスをしている最中のダイ先輩がこちらに気づき、そのままキスをしながら私に向かって視線で微笑んだ。 そして、さらに深く食べ合うかのようなキスをし始めた。 今、目が、目が合っちゃったよね!? …は! 私、こんな悪趣味なことしちゃって!!! さらに火照った頬を押さえながら、走るようにその場から逃げた。 自分の幼い恋に比べ、宮ちゃんのさっきの姿は世界が違うようで、置いていかれていくようだった。 周囲を歩く同じ制服の人たちがみんな自分より大人に見える。 よくわからない焦りとドキドキを抱え、とぼとぼと歩いた。
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