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窓のそばで陽当たりのいいこの場所は、こうして音のない中で座っていると、まるで私だけの秘密の世界のようだった。
確か、この後撮るって言ってたのが…
このショートフィルムの冒頭部分。
女の子がこの席で寝てしまい、それを見つけた男の子が、近づいてそっとキスをする。
―――君に想いが届きますように――
と、テロップと城座くんの声が入るようだ。
実際にキスするわけじゃないけど、やっぱりそれだけ顔が近づくと思うと、想像するだに顔が赤くなる程恥ずかしい。
うー…
いっそ本当に寝てしまいたい…
うだうだと考えて悶えていると。
ヴヴヴ…
携帯が振動し、メールの着信を知らせた。
…!
もしかして!!!
期待を込めて携帯を見ると、そこには予想通りの名前が浮かんでいた。
山下くん…!
朝起きて、今日の撮影に対する緊張で妙なテンションになっていて、山下くんに勢いでメールを送っていたのだ。
――今日から夏休みだね!山下くんは部活で忙しいの?――
送ってしまって、ひどく後悔したが、こうして返信が来るとすごく嬉しい。
――おはよー!ってもう昼過ぎか!
すげー寝た!
夏休みは部活ばっかだよ。泉さんは?そーだ、予定が合えば央司も誘って皆で遊びたいね!――
~~っっ!!
嬉しいっっ!!!
夏休み、会えるんだ!
一緒に遊ぶ、なんて!
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