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夕焼け色に染まる図書室で、西日を受けてぽかぽかする席に座り、右頬を机に付けて、寝たふりをした。
意識は完全にピンとし、城座くんの気配が気になってしょうがない。
賢人くんの掛け声で、城座くんが机に近づくシーンが終わった。
ノートパソコンで映像をチェックし、OKを出すと次のシーンに移る。
「ナオちゃん、さっきみたいにね!
息止めないでね!
リラックスだよ!」
賢人くんの笑顔で幾分気がラクになった。
そして、先ほどと同じように椅子に座って目を閉じた。
撮影が始まり、城座くんが隣の椅子を引いて座る音がした。
まぶたに届く光が急に暗くなり、顔が近づいて来ていることを感じる。
あ、鼻息かからないようにしなきゃ…!
呼吸を止めずに最小限に抑えようと意識して、逆に息苦しくなっていると。
ふ、と。
唇に柔らかい感触がした。
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