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「見てみて、ナオちゃん!
このプリント生地、かわいい!」
「あ、ほんとだ!
宮ちゃんに似合いそうだね~
あ、これもかわいいよ!」
7月も終わりのこの日、私たちは大型の手芸用品店に来ていた。
手芸部全員で来ていたものの、
広い店内に所狭しと並べられた様々な種類の生地や、糸や、小物類にみんなすっかり心を奪われて、散り散りになっていた。
私たちは、さっきから制作物に関係なく、自分の好きな生地を選んではきゃっきゃと騒いでいた。
宮ちゃんと会うのは、夏休みに入る前に、校庭でダイ先輩といるところを目撃して以来だった。
あの時、ダイ先輩に私の存在を気づかれていたので、今日宮ちゃんに会ってすぐに見てしまったことを謝ろうかと思ったけど、部員がいる手前タイミングを逃してしまっていた。
でも…
宮ちゃん、もしかしたらあの時見られてたこと、知らないのかも。
向こうから何も言ってこないし…
ダイ先輩、言ってないのかな?
それ以前に、私のこと知らないのかな…?
悶々としていると、宮ちゃんが上の方の棚にある生地に手を伸ばしていた。
「取れないよぉ…
ナオちゃん、届く?」
「あはは、宮ちゃん、ちっちゃいもんね。私なら届くよ!」
宮ちゃんは身長が自称150センチなので、164センチある私とは男女のように違う。
薄いピンクのシフォン地のチュニックを着て、困った表情を浮かべる宮ちゃんは、女の私から見ても、キュンと来るものがある。
小さくてかわらしい宮ちゃんの後ろに立ち、指さしている生地を取ろうとした時、
髪を片側でまとめている首元に小さなアザを見つけた。
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