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海を体育座りで眺める、半袖のパーカーにトランクスタイプの水着を着た青年。
青年は一人海を眺めていた。
その瞳は水平線の遥か彼方を見ており、顔からは生気と言うものが無くなっていた。
「……」
「銀、あまり気にするでない」
銀の背後から、銀髪の女性が歩み寄る。
「シルバさん……でも俺」
歩み寄った女性、シルバに対して青年はなんとも沈んだ声で返答する。
「なに、たかが野宿だ私は慣れているし銀にも良い経験であろう」
「だから落ち込んでいたんだ。俺、野宿なんかしたくないよ」
「まったく、計画も無しに出掛けるからだ」
「いや、シルバさん。海に行こうと言ったのはシルバさんだからな」
「仕方がないではないか、海が私を呼んでいたのだから」
「んなファンタジーみたいな事を言っても騙されないぞ」
「いやいや、本当だ、テレビからな」
「それCMじゃん」
などと二人は掛け合っていると、側面から殺気を感じ咄嗟に海へ避ける。
「危な……」
ズンと言う地響き。先程まで銀が居た所からは、砂が爆発するような弾け飛んだ。
「ありゃぁー失敗しちゃった」
大破した木の棒を持ち、目隠しをした金髪の少年が、その目隠しを取りながら言った。
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