Crossing

15/35
前へ
/165ページ
次へ
陣が演奏しようとしたその時。 ズシンと激しい縦揺れが、辺り一帯を襲った。 「うぉっ」 マイクに一番近かった陣の声を拾ったのを最後に、電源が落ちたのだろうか。 スピーカーからの声がプッツリと途切れた。 その間にも段々と揺れは激しくなる。 軽く組まれた屋台は崩れ、海の水は海底からかき混ぜられた様に濁り始める。 辺りは悲鳴に、包まれるがそれは段々と揺れと共に静まっていった。 揺れが静まったその時、椎名は真由美を被うように。 成瀬は妹の愛美を守るように、それぞれ動いていた。        
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加